
1. 公益事業投資移民(IISPB)とは
公益事業投資移民(IISPB, Immigrant Investor Scheme for Public Business)は、政府が指定・運用する公益事業(例: 過疎地域の開発、社会基盤・公益目的の投資商品など)に一定要件の投資を行い、その対価として居住(F-2)資格を取得した後、要件を維持すれば永住(F-5)へつながる投資移民制度です。韓国に資本を誘致して公益目的の事業を活性化し、投資家には安定した在留・定着の経路を提供しようという趣旨を持ちます。
一般的な企業投資(D-8)が「事業体を設立・運営」する経営型の資格であるのに対し、公益事業投資移民は「政府指定の公益投資商品に投資」して在留・定着資格を得る投資商品型の経路である点で性格が異なります。自ら会社を運営する必要なく、指定された商品に投資・維持する構造であるため、事業運営の負担が大きくない投資家に適している場合があります。
2. 一目でわかる — 経路・コード要約
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 居住資格 | F-2-12(公益事業一般投資居住) |
| 永住への切り替え | F-5-21(公益事業一般投資家永住) — 居住5年以上維持後 |
| 家族(配偶者・未婚の子)の永住 | F-5-22 |
| 投資の性格 | 政府指定の公益投資商品に投資・維持(商品型) |
| 投資金額 | 法務部の告示で定める(改正あり) — 申請時点の最新基準の確認が必須 |
| 主な審査 | 投資の実体・資金の出所・要件の維持 |
3. 居住(F-2-12) → 永住(F-5-21)の経路
公益事業「一般投資」トラックの正確な在留資格の経路は次のとおりです。
- 居住 F-2-12 — 公益事業一般投資の居住資格を取得
- 投資・在留要件を5年以上維持
- 永住 F-5-21 — 公益事業一般投資家の永住へ切り替え
家族は別途の細分コードで同伴が可能です。公益事業投資家の配偶者・未婚の子の永住はF-5-22として区分されます。居住段階で家族を一緒に招請・在留させ、永住への切り替え時に家族も要件に応じて一緒に切り替えを検討します。
4. 投資類型 — 一般・退職移民・連携投資
公益事業投資移民は投資の性格に応じて居住の細分コードが分かれます。
| 類型 | 居住コード | 特徴 |
|---|---|---|
| 一般投資 | F-2-12 | 公益投資商品への一般投資。永住への切り替え: F-5-21 |
| 退職移民など | F-2-13 | 退職移民の性格の投資。関連する永住類型(例: F-5-23 退職移民投資家)を検討 |
| 連携投資 | F-2-14 | 公益事業連携型の投資 |
ご本人の資金の性格(運用目的、回収計画、退職の有無、家族同伴)に応じてどの類型が適するかが変わるため、申請前の類型設計が最も重要です。類型を誤ると、その後の永住切り替え経路が変わる可能性があります。
5. 他の投資トラックとの比較(D-8・F-5-5)
韓国の代表的な投資・経営関連の資格を比較すると次のとおりです。
| トラック | 性格 | 主な要件 | 帰結 |
|---|---|---|---|
| 公益投資(F-2-12→F-5-21) | 政府指定の公益商品への投資(商品型) | 認定商品に告示基準で投資・維持 | 居住5年 → 永住 |
| D-8 企業投資 | 事業体の設立・運営(経営型) | 外国人投資として認定される投資 + 法人の設立・運営 | 在留(ビザ)、その後F-2・F-5を検討 |
| F-5-5 高額投資 | 事業体への直接高額投資・雇用(事業型) | 米ドル50万ドル↑投資 + 国民5人↑雇用 | 永住(直接) |
つまり、事業を直接運営する意思が強ければD-8・F-5-5、商品型の投資で定着を望むなら公益投資(F-2-12→F-5-21)が検討対象です。資金規模・運営意思・回収計画に応じて有利・不利が分かれます。
6. 主な要件
共通して次の点が審査されます。
- 認定投資商品・期間 — 法務部が告示で指定した公益投資商品に、指定期間以上、投資を維持
- 投資金の適法な出所 — 資金源の疎明(贈与・融資・売買・給与などの性格を明確化)
- 在留・投資の維持 — 居住資格期間中、投資と在留要件を継続して充足
- 欠格事由がないこと — 出入国管理法上の在留不適格事由がないこと
7. 必要書類チェックリスト
類型によって異なりますが、一般的に次の書類が求められます。
- ☐ 統合申請書(または査証発給申請書)、パスポート、標準規格の写真
- ☐ 公益事業の投資確認・約定書類(指定投資商品への加入・払込証憑)
- ☐ 投資金の出所証憑(預金・売買・給与・相続/贈与などの源泉資料)
- ☐ 犯罪経歴証明書など欠格事由の確認書類(該当時、アポスティーユ/領事確認)
- ☐ 居住地・扶養能力など管轄庁が要求する書類
- ☐ 家族同伴時: 家族関係・婚姻証明など(本国発給 + 翻訳・認証)
提出書類の種類・アポスティーユ/領事確認の要件は国と類型によって異なるため、事前の点検が必要です。特に資金出所の証憑は不許可・遅延の最大の変数であるため、初期にしっかり準備する必要があります。
8. 申請手続き
- 類型・要件の確認 — 一般(F-2-12)/退職移民(F-2-13)/連携(F-2-14)の中から適した類型を決定
- 指定投資商品への加入・払込 — 告示された公益投資商品に要件どおり投資
- 居住(F-2)申請 — 国内は在留資格変更許可、海外は査証発給認定書の後、在外公館で査証
- 審査・許可 — 投資の実体・出所・要件を審査した後、外国人登録証を発給
- 要件の維持(5年以上) → 永住(F-5-21)申請 → 永住審査・許可
9. 審査ポイントと処理期間
審査で特に重点的に見られる要素は次のとおりです。
- 投資の実体 — 指定商品に実際に投資が行われ、維持されているか
- 資金出所の適法性 — 資金が合法的に形成・移転されたか
- 要件維持の可能性 — 認定期間中、投資・在留を維持できるか
処理期間は事案・書類の完成度によって変わります。書類補完の要請が繰り返されると遅延するため、資金出所の疎明資料を最初から完結的に準備することが期間短縮の鍵です。
10. 留意事項 — よくある誤解と不許可事由
- コードの混同 — 公益投資の永住をF-5-12(特別功労者)と誤記する事例。正解はF-5-21。
- D-8との混同 — 企業投資(D-8)は経営型の資格で、公益事業投資移民とは根拠・要件が異なります。
- 資金出所の疎明不足 — 投資金の源泉が不明確だと不許可になる可能性があります。
- 要件の途中での不維持 — 永住切り替え前に投資・在留要件が途切れると、F-5-21への切り替えが難しくなります。
- 金額・商品情報の陳腐化 — 認定商品・金額は改正される可能性があるため、古い情報で準備すると失敗を招きかねません。
制度・金額・認定商品は改正される可能性があるため、進行前に必ず最新基準をご確認ください。
11. 事例シナリオ
理解を助けるための一般的なシナリオです(個別の事案は要件・基準によって変わります)。
- 家族と定着を望む投資家 — F-2-12で居住しながら配偶者・子を同伴(→ 家族永住F-5-22を検討)、5年維持後にF-5-21へ切り替え。
- 事業運営の負担を避けたい投資家 — 直接法人を運営(D-8)する代わりに、指定商品への投資(F-2-12)で在留・定着。
- 直接の事業・雇用を計画する投資家 — 公益投資よりもD-8または高額投資(F-5-5、50万ドル+国民5人雇用)トラックの方が適している可能性がある。



